1.カルテ記載の不備
指導医療官は、カルテ記載の不備について、指摘します。その指摘内容とご自身の対応をメモして下さい。反論や言い訳する必要なく、熱心に指導医療官から教わりましょう。
なお、カルテの記載不備は、減点査定の根拠になりません。実際の医療行為が適切に行われていれば、診療報酬の算定は可能です。
正確なメモは、後ほど大切な記録になります。例えば、後日送付されてくる指導結果の内容が、メモと照らし合わせることにより、正しいかどうかを確認することができます。もし、身に覚えの無いことが記載されていた場合には、メモを示して訂正を求めることができます。かつて、保険医が身に覚えの無い指導結果により処分を受けたことがあります。
2.うっかりミス
算定のうっかりミスは、あまり問題になることはありません。返戻に応じても良いと思います。「今後このようなミスが生じないように注意します」で良いでしょう。
3.故意の不正請求
故意に不正な請求を行い、それを指摘された場合、注意が必要です。個別指導の場で、故意の不正請求について返戻のための押印を求められることがあります。その場で返戻に応じて押印した場合、不正請求の証拠とされることがありますので、即答は避けた方が良いと思います。「考えさせて下さい」として一度持ち帰り、しかるべき方に相談するのが得策です。なお、任意の指導の場にて、医療官が何かを認めさせる内容の押印を求めることは、行政手続き法に違反し、医療官が罰せられます。
例:普通抜歯を難抜歯で請求。この場合は、難抜歯と言い張って問題ありません。
例:歯根膿疱摘出手術の大きさについて、レントゲン写真に当該大が確認できなくても、実際に請求した大きさの膿疱が存在したと言い張って問題ありません。カルテに大きさが記載されていればさらに問題ありません。
例:顎運動関連検査。カルテに25〜35度の間以外の数値が記載され、あるいは、医療官の質問(咬合器の種類やフェイスボウなど)に答えることができない場合、不正請求とみなされることがあります。事前に勉強しておくと安心です。
※念のため、指導を受ける前にご自身のカルテと請求内容をチェックし、準備をすると安心です。明らかに不利な証拠として利用される資料は、「忘れて」持参しないのも一つの選択です。
4.個別指導の結果が良くない場合
個別指導の結果が良くない場合、再指導を受けることにより救われます。要するに、最初の指導にて指摘された事項を再指導にて改善されることにより監査を避けることができます。そのため、指導内容の正確なメモは、とても大切なのです。
法律では、個別指導でいきなり監査してはならず、再指導を実施して改善が認められない場合にのみ監査するとされております。
5.立会人について
歯科医師会の立会人は、様々です。時として、個別指導を受けた経験が無い方あるいは行政手続き法に関する知識を持ち合わせていない方が立会人に選任されることがあります。そのような立会人は、まったく頼りになりません。また、多くの立会人は、ご自分が中立の立場にあると勘違いされておりますので、そのような立会人には、披指導者を守る対応を期待できません。
6.指導医療官の態度について
行政手続き法において「指導は懇切丁寧に行うこと」とされております。指導医療官の強圧的な指導は、法律違反になります。
7.突然の監査
指導中にいきなり監査に移行することは、法律で禁止されております。しかし、披指導者が指導を拒否した場合、その限りではありません。積極的に指導を受けることが、なによりも大切です。
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