歯ブラシの方法には、主なものだけで9種類あります。歯科衛生士は、患者さんの歯ぐきの状態や汚れの付き具合そしてこれまで患者さんが行ってきた方法を考慮して、個々の患者さんに応じて最も適した方法を指導します。そのため、歯槽膿漏の治療を目的とした歯ブラシの方法を身に付けるためには歯科医院にて歯や歯ぐきの状態を検査し、その上で歯科衛生士から歯ブラシ指導を受ける必要があります。
衛生士さんによる歯ブラシ指導の過程と要点を簡単に紹介します。
プラーク付着
この写真は、歯の表面に多量のプラークが付いているところです。プラークと歯の色は似ております。そのため、歯の汚れを患者さん自身に確認してもらうことは困難ですので、プラークに色を付けてみます。
プラーク染め出し
これは、プラークを染め出した写真です。糸切り歯とその手前の歯全面にプラークが付いていることを確認することができます。
プラーク除去後
これは、歯に付いたプラークを染め出した後、時間をかけて自分なりに歯ブラシをしていただいたときの写真です。先ほどに比べてかなり汚れが落ちてはいますが、細かい部分の汚れまで完全に落ちているわけではありません。
このように、普段行っている歯ブラシの方法では落とすことができないプラークがあります。そのようなプラークの付いているところを確認することはとても大切なことです。
歯ブラシの大きさ
歯ブラシの適切な大きさは、この写真のように、人差し指と中指を合わせた長さよりも短いものを選ぶ必要があります。大きすぎる歯ブラシを使用すると、奥歯の細かい部分まで磨くことができません。
歯ブラシの寿命
歯ブラシは何ヶ月も使えるものではありません。写真のように、歯ブラシを裏側から見て、歯ブラシの付け根から毛先がはみ出している歯ブラシは捨てる時期と考えて下さい。毛の腰が弱くなったり、毛先が曲がった歯ブラシでは、歯の汚れを充分に取り去ることができません。
前歯唇側歯ブラシ
前歯の外側は、写真のように、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てて、細かく動かします。あまり強く当てる必要はありません。
前歯舌側歯ブラシ
前歯の内側は、写真のように、歯ブラシを縦ににして、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てて、細かく動かします。
臼歯の歯ぐき附近の歯ブラシ
奥歯の歯ぐき付近の歯ブラシの方法は、前歯と同様に歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てて、細かく動かします。歯ブラシの毛先を歯ぐきに当てるに際しては、歯ぐきが痛むほど強く当てないように注意する必要があります。
奥歯の内側も同様に歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てて、細かく動かします。
臼歯の噛み合わせ部分の歯ブラシ
奥歯の噛み合わせの部分の歯ブラシの方法は、歯の噛み合わせの面に垂直に歯ブラシの毛先を当てて細かく動かします。このように歯ブラシを行うことにより、噛み合わせ部分の細かい溝の中の汚れを落とすことができます。
きれいに汚れが落ちた歯
これは、プラークをきれいに取り除いた後の歯の写真です。プラークがきれいに取り除かれると、歯の表面はつるつるになります。一方、プラークが付いた歯の表面はざらざらしています。プラークが付いているかどうかは舌で歯の表面を触ることにより確認することができます。また、鏡で歯の表面を観察する事によっても確認することができます。
歯ブラシを上手に使用してプラークをきれいに取り去るには、プラークが付いているかどうかを確認しながら歯ブラシを行い、隅々に取り残したプラークをきれいに取り去ることです。
口の中に細菌が住んでいることは異常なことではありません。しかし、口の中の細菌が異常に繁殖することは、様々な障害を引き起こします。口の中を適切に管理して、歯と歯ぐきの健康を守っていただきたいと思います。
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