【論文題名】
「いわゆる顎関節症」から分離して扱うべき疾患
ーとくに隣接医科との整合性を考慮してー
【掲載誌名】
外川 正,武田泰典,加藤貞文,阿部 隆,千葉健一,水間謙三,岡田 弘:「いわゆる顎関節症」から分離して扱うべき疾患ーとくに隣接医科との整合性を考慮してー,日本歯科評論,624:171〜180,1994.
【抄録】
歯科領域で使用されている顎関節疾患に関する専門用語(とりわけ「いわゆる顎関節症」)が、隣接医科の概念と整合しているかどうかを検討してみた。フィールドの異なる医師7名により、顎関節症の基準・要件・治療方法についての議論がなされた。その結果、歯科領域における「いわゆる顎関節症」という疾患名は、隣接医科のものとはいくつかの点で異なることが明らかになった。
そのため、われわれは「いわゆる顎関節症」の扱い方を見直した。その疾患群のうち、病態を明らかにすることが可能な顎関節の変形性関節症(Fig.19)と外側翼突筋の腱付着部炎(Fig.20)を分離し提示した。
顎関節の変形性関節症
外側翼突筋の腱付着部炎
【論文題名】
被顎強打撲者における顎関節の症状出現率(高校生のアンケート調査より)
【掲載誌名】
外川 正:被顎強打撲者における顎関節の症状出現率(高校生のアンケート調査より),日顎誌,4(3):46〜52,1992.
【抄録】
若年者における顎関節症罹患者の増加傾向の原因を明らかにするために、高等学校の生徒を対象にアンケート調査を実施した。調査対象者は、岩手県2校・秋田県1校・関東2校・関西3校の高等学校の生徒3,108名(男子正徒2,637名・女子生徒471名)である。アンケートの調査項目は、顎関節の症状の有無・被顎強打撲経験の有無である。顎関節の症状有りと回答の生徒に対しては、さらに開口時関節痛・咬合時関節痛・顎関節音・開口障害について質問した。以上の調査の結果、顎関節の症状を訴えた生徒と被顎強打撲を経験した生徒との関連性が示唆された。これらの関連性により、被顎強打撲が顎関節の症状の誘因の1つと考えられる。
顎関節の症状出現率の被顎強打撲経験者と未経験者間の比較(男子生徒)
強打撲経験者 (525名) |
未経験者 (2,000名) |
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開口時関節痛出現率 | 11.8% | ─**─ | 5.8% |
咬合時関節痛出現率 | 5.3% | ─**─ | 2.1% |
顎関節音出現率 | 41.3% | ─**─ | 32.1% |
開口障害出現率 | 10.3% | ─NS─ | 5.4% |
NS:not siginificant **P<0.001
MAIL : sotokawashika@ozzio.jp