【書籍名】
岩手県ラグビーフットボール協会安全対策マニュアル
【発行者】
岩手県ラグビーフットボール協会2000年
【発行日】
2000年2月26日
【もくじ】
も く じ
Ⅰ.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ.メディカルサポーター制度・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1.目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.認定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.義務と役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
4.重傷事故の判断基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
5.服装・持ち物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
6.レフリーからのメッセージ・・・・・・・・・・・・・・・・3
7.認定のための医務上修得内容・・・・・・・・・・・・・・・3
Ⅲ.障害予防対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
1.プレイヤーの意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
1)ロー( Law )の精神 ・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2)ラグビー精神・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3)ノーサイド精神・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
4)絶対条件としての安全対策・・・・・・・・・・・・・・・5
2.コンディショニングと体力づくり(フィットネス)・・・・・5
1)ウォームアップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2)ストレッチング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3)ウエイトトレーニング・・・・・・・・・・・・・・・・・11
4)ウォームダウン(クーリングダウン)・・・・・・・・・・14
5)休養・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
6)水分補給・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
3.技術練習(スキル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
1)ラック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
2)タックル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
3)スクラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
4.プレイヤーの服装・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
1)プレイヤーが身につけてよいもの・・・・・・・・・・・・30
2)プレイヤーが身につけていけないもの・・・・・・・・・・31
5.熱中症の予防・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
1)熱中症とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2)スポーツ活動中の熱中症予防8ヶ条・・・・・・・・・・・31
6.マウスガード・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
1)マウスガードの種類と整形方法・・・・・・・・・・・・・32
2)マウスガードの管理と保管用ケース・・・・・・・・・・・33
3)マウスガードのトラブルと解消方法・・・・・・・・・・・33
Ⅳ.ラグビー事故への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
1.ラグビー事故の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
2.事故への備え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
3.頭頚部外傷の対処 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
4.出血の処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
5.熱射病の処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
6.急性外傷の応急処置 ーRICESー・・・・・・・・・・・36
7.歯の外傷の応急処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
Ⅴ.栄養補給・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
1.栄養素とその働き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
2.運動後の食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
3.貧血予防の食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
4.試合当日の食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
5.ラグビープレイヤーの食生活10箇条・・・・・・・・・・・・41
【文献】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
[付録]1RM換算表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
換算表を使用した1RMの求め方・・・・・・・・・・・・44
【論文題名】
スポーツ歯学の現況と今後のあり方ー開業医の立場からー
【掲載誌名】
外川 正:スポーツ歯学の現況と今後のあり方ー開業医の立場からー,第6回日本スポーツ歯学研究会学術大会講演集:7〜12,1995.
【抄録】
1.スポーツ医学とスポーツ歯学の関係
スポーツ歯学は、スポーツ医学から分離して論じることはできず、スポーツ医学の目的の一部を担う。その領分の責務を充分果たすために、スポーツデンティストはスポーツ医学全般を把握する必要がある。
スポーツ医学とスポーツ歯学の関係
2.スポーツ医学の分野
スポーツは、その活動目的により、競技スポーツ、一般スポーツ、リハビリテーションに分けられる。スポーツ医学は、体育科学、基礎科学、臨床医学など、いろいろな分野が統合された学際的ニュアンスの濃厚な応用科学である。スポーツ医学には、運動処方、スポーツ障害予防、スポーツ選手の健康管理、スポーツ現場の応急処置などの分野がある。(前田如矢著:新スポーツ医学より)
3.スポーツ歯学の役割
スポーツ医学の中でスポーツ歯学が関わる分野には、スポーツ障害予防とスポーツ選手の健康管理およびスポーツ現場の応急処置などがある。スポーツ障害予防の分野には、防護用具がある。スポーツ選手の健康管理には、メディカルチェックがある。
4.スポーツ歯学が担当する防護用具
スポーツ歯学が担当する防護用具の主なものとしてマウスガードがある。マウスガードに関しては、開発・製作・啓蒙・指導・使用状況の調査監督などの分野があり、それぞれに多くの課題が残されている。
5.スポーツ歯学が担当するメディカルチェック
スポーツ障害に関与する可能性のある歯科疾患には、顎関節症・根尖病巣・歯槽膿漏症などがある。このうち顎関節症が競技能力に悪影響を及ぼすことは多くの研究者により明らかにされている。しかし、スポーツ障害と歯科疾患の関係のすべてが科学的に究明されているわけではない。将来メディカルチェックの一部をスポーツ歯学が担当するためには、これらの研究成果が必要とされる。
6・スポーツ歯学が担当するスポーツ現場の応急処置
歯科医師が担当する応急処置には、歯牙の完全脱臼・歯槽骨骨折・顎骨骨折に対する応急処置などがある。しかし、応急処置に関しては、これら歯科疾患に関するものだけで済むとは限らない。スポーツ事故現場に外科医あるいは整形外科医が同席していない場合、歯科医師はあらゆる事故に対応し、その応急処置の指示を出す立場になる。また、医師がスポーツ事故現場に同席している場合でも、歯科医師は医師の補助者の役割を担う。したがって、救急蘇生のABCあるいは応急処置のRICEに関しては一般の人たちに充分指導できる能力を身につける必要がある。また、頚椎損傷・骨折・捻挫・熱射病・ショック・過呼吸症候群などの診断と処置能力も身につける必要がある。
7.スポーツ歯学における歯科開業医の役割
スポーツ歯学はスポーツ現場において提供される。スポーツ歯学を志す歯科開業医は、その活動の中心的役割を担う。
スポーツディンテストのフィールド
スポーツチームデンティスト
教育機関スポーツデンティスト
スポーツデンティストのフィールドの要件
(スポーツ歯学会)
1) スポーツ医学との連携強化
2) スポーツデンティスト養成コースの設立
(歯科医師会)
3) 教育機関およびスポーツ現場へのスポーツデンティストの参加
4) マウスガードを必要とするスポーツ種目の選定とルール化
日本におけるスポーツ歯学のフィールド
【論文題名】
スポーツ活動と被顎打撲者における顎関節の症状出現率
【掲載誌名】
外川 正:スポーツ活動と被顎打撲者における顎関節の症状出現率,第6回日本スポーツ歯学研究会学術大会講演集:79〜81,1995.
【抄録】
目的: 中・高等学校におけるスポーツ活動の口腔とその周囲組織の傷害防止対策を検討するために、スポーツ活動と被顎打撲との関係ならびに被顎打撲と顎関節の症状出現率との関係を明らかにする。
調査対象者および調査方法: 調査対象者は東北7高等学校三年生・関東3高等学校三年生・関西2高等学校三年生の合計12校3908名(男子2652名・女子1256名)である。調査期間は1994年5〜7月である。アンケート調査項目は、顎関節の症状の有無・被顎打撲経験の有無・スポーツ活動状況等である。なお、発生率の有意の差の判定はカイ2乗検定にて行った。
結果および考察: 1.被顎打撲経験者率は男子生徒31.7%女子生徒21.2%であった。男女生徒間に被顎打撲経験者率に有意の差が認められた。また、男女とも被顎打撲原因の大半はスポーツ活動によるものであった。
被顎打撲者率とその原因 ー男女生徒間の比較ー
2.2年前の調査に比較して、開口障害を訴える生徒の増加傾向が認められた。また、顎関節症と診断される生徒も増加している。これらの要因として、顎関節症の患者自体の増加が考えられる。また、一方、歯科医師の顎関節症に対する認識がこの数年高まり、顎関節症という診断名が使用されるようになってきつつあることも考えられる。
3.スポーツ活動を行っている男子生徒はスポーツ活動を行っていない生徒よりも被顎打撲の機会が多い。しかし、スポーツ活動経験者と未経験者との間に顎関節の症状出現率に関して有意の差は認められなかった。被顎打撲の機会が多いスポーツ種目はボクシングとラグビー競技であった。ボクシングにおいては、プロテクターの着用等の規則が整備されているのに対して、ラグビー競技に関しては、口腔とその周囲組織の傷害防止対策が充分整備されいるとは言えない。したがって、とくにラグビー競技に関しては、早急に口腔とその周囲組織の傷害防止対策を講じる必要があると考えられる。
中学・高等学校時代のスポーツ種目別被顎打撲経験者率 ー男子生徒ー
4.被顎打撲の経験がある男子生徒は、経験のない生徒に比較して、顎関節の症状出現率が高い。しかし、顎関節症と診断される率に有意の差は認められなかった。したがって、被顎打撲は顎関節の症状を出現させる要因の一つと考えられる。
結論: 男女生徒間の被顎打撲に関する状況に差異があるため、口腔とその周囲組織の傷害防止対策は男女別に講じられる必要がある。
ラグビー競技に関しては、早急に口腔とその周囲組織の傷害防止対策が必要とされている。
【論文題名】
岩手県ラグビー協会安全対策アンケート調査 ー中学・高校チームについてー
【掲載誌名】
外川 正:スポーツ歯学の現況と今後のあり方ー開業医の立場からー,スポーツ歯学 第3巻 第1号:35〜40,2000.
【抄録】
岩手県ラグビー協会は、県下ラグビーチームを対象に安全対策を目的としたアンケート調査を実施した。本稿は、このアンケート調査により明らかにされた中学・高校チームに対する示唆事項およびスポーツ歯学的課題について報告する。
以下に結論を列記する。
1.今回の調査は、適切な練習量の検討、ストレッチングの完全実施、ウエイトトレーニングの指導体制の確立、適切な水分補給の実施などの必要性を示唆した。そのため、すべてのチームにおいて、プレイヤーの体力測定を実施して、プレイヤーの健康管理およびチーム力の強化など総合的な観点から適切な練習メニューすなわち科学的トレーニングを取り入れることが望まれる。
2.中学・高校のラグビー部の指導者が、選手の安全に対して高い関心を持っていることが伺われる。したがって、定期的また要望に応じて安全対策講習会を実施する必要がある。
3.マウスガードの有用性に関する認識を普及する。
4.学校医と各スポーツ協会あるいはスポーツドクターとの円滑な連携について検討する必要がある。
5.グランドドクターとしての歯科医師の役割について検討する必要がある。
MAIL : sotokawashika@ozzio.jp