【論文題名】
ケースレポート
歯内療法施行8年後に大きな歯根嚢胞を形成した下顎第1大臼歯の1症例
【掲載誌名】
外川 正,大屋高徳:歯内療法施行8年後に大きな歯根嚢胞を形成した下顎第1大臼歯の1症例,日歯内療誌,11:196〜199,1990.
【抄録】
1981年11月、著者の診療所にて37才の男性の下顎左側第1大臼歯の根管充填が施行された。根管閉塞のため2根管は2ʔの根管充填不足であった。
8年後、近心根尖部に約直径12mmの放射線透過像が認められた。歯根端切除手術が施され、組織病理学診断により嚢胞の存在が確認された。
この症例は、歯根閉塞の存在による根管充填不足の症例に対しては、比較的短い間隔での経過観察が必要とされることを示唆した。
左下第一大臼歯の近心根に大きな歯根嚢胞が認められる
【論文題名】
アフタ性口内炎に対する口腔殺菌消毒剤
スプロールトローチの治療効果検討
【掲載誌名】
外川 正,小林琢三,池田 健,小山田栄二,佐藤忠朋,山田雅男,平栗豊彦,大津匡志:アフタ性口内炎に対する口腔殺菌消毒剤スプロールトローチの治療効果検討,基礎と臨床,20:1383〜1387,1985.
【抄録】
歯科外来において、アフタ性口内炎はごく一般的にみられる疾患である。この疾患に対し、原因または症状の経過から分類が試みられている。しかし、全身的原因が明らかなアフタ性口内炎を除き、歯科外来でよくみられるアフタ性口内炎は、原因などいまだ明らかにされていない部分がある。したがって、その治療方法も栄養剤、抗生物質、焼灼方、ステロイド剤、自律神経安定剤、抗ヒスタミン剤、ホルモン剤など多岐にわたっており、いまだにこれといった治療法が確立されているわけではない。
今回われわれは、口腔殺菌消毒剤であるcetylpyridinium chloride を主成分としたスプロールトローチ(岩城製薬)を歯科外来を訪れたアフタ性口内炎の患者に投与し、その治療成績を検討する機会を得た。スプロールトローチがアフタ性口内炎に対して一定の効果を示すことが明らかにされた。
スプロールトローチ投与群とコントロール群の改善率の比較
著名改善 | 改善 | 不変 | 計 | 改善率 | |
投与群 | 21 | 5 | 4 | 30 | 86.7 |
コントロール群 | 2 | 0 | 8 | 10 | 20.0 |
【論文題名】
正会員への道 症例報告
【掲載誌名】
外川 正:正会員への道 症例報告,日歯内療誌,14:139〜140,1993.
【抄録】
本症例は、歯内療法協会正会員の資格審査に提出したものの内の一つである。そのため、日常臨床においてみられる一般的な症例を選択した。
ガッターパッチャーポイントの試適
根管充填後6カ月経過
【論文題名】
歯科開業医のための症例報告執筆の手引き
【掲載誌名】
外川 正:歯科開業医のための症例報告執筆の手引き,日歯内療誌,26:184〜189,2005.
【抄録】
日本における、歯科医療の多くは、歯科開業医に委ねられている。それにもかかわらず、歯科開業医が日常診療を通して得た多くの貴重な臨床経験は、歯科開業医自身の日常診療には生かされているが、それ以外で活用されることはあまりない。しかしながら、歯科医学のさらなる発展のためには、多くの歯科医師がこれらの貴重な歯科医療経験に何らかの形で触れる機会を持つことができ、議論できる場を持つことが必要であろう。それには、症例報告が最適であることは言うまでもない。論文執筆解説書あるいは症例報告解説書が多数出版されている。しかし、歯科開業医は、多忙な日常診療の中、それらの書籍を読みその上症例報告執筆の時間を捻出することは容易ではない。
本稿は、そのような多忙な歯科開業医向けに症例報告の書き方を記したものである。歯科開業医各位には、本稿に目を通し、ぜひ症例報告執筆に取り組んでいただきたい。会員各位からの多くの貴重な症例報告により、歯科医療がより良質なものになることが期待できるだけでなく、歯科医学が飛躍的に発展すると確信する。
MAIL : sotokawashika@ozzio.jp