【論文題名】
私の歯科診療所における救急蘇生時の対応とその訓練
【掲載誌名】
外川 正,千葉健一,岡田 弘:私の歯科診療所における救急蘇生時の対応とその訓練,日本歯科評論,515:219〜222,1985.
【抄録】
最近、歯科の分野においても医事紛争が発生してきている。医事紛争の一部は歯科治療中の偶発事故によって起こり、そのため最近は、偶発事故に対する歯科医師の対応能力が患者から求められるようになりつつある。そのような状況にありながら、私は救急蘇生に対する専門知識を持ち合わせているわけでもなく、また救急蘇生にたずさわった経験もないので、偶発事故が発生した時に充分対処できるとはいいがたい。しかし、当院の所在する盛岡市では、偶発事故発生に対処するために盛岡市医師会の協力による救急救護の連絡体制が確立され、当院の場合、連絡後可及的速やかに救急担当医が来てくれることになっている。そのため、救急担当医が来院する5〜10分間に当院で可能な処置について、神経内科専門医ならびに麻酔科専門医の協力を得て検討を加えてみた。その結果、「 Basic life support 」を基本に、患者のバイタルサインに対応した歯科診療所用の救急蘇生体制の処置の流れを明らかにすることができた。また、患者急変時に速やかにこの体制を実施するためには、歯科外来の全スタッフにより、この処置の流れに沿って毎年訓練を実施する必要があると思われる。
バイタルサインに対応した救急蘇生の流れ
【論文題名】
歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中の細菌数に関する考察
【掲載誌名】
外川 正,松嶋正造,吉田広海,田中健一,山田吾郎,橘 雅洋,桐田 淳:歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中の細菌数に関する考察,岩医大歯誌,15:190〜196,1990.
【抄録】
本研究は歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中の細菌の混在と細菌の混入した経路あるいは増殖の場について考察することを目的として行った。歯科診療所7カ所を対象に、各歯科診療所のスリーウエイシリンジから排出する圧縮空気中の細菌数を算出した。さらに各歯科診療所のエアーコンプレッサーの条件を変えて、細菌数を算出した。また、セントラルバキュームの排気の条件を変えて、機会室内の浮遊細菌数を算出した。
その結果、歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中には細菌が混在していることが明らかになった。これらの細菌の発生源はセントラルバキュームから排出する空気と細菌の増殖の場となったエアーコンプレッサー内部の水分であった。これらのことから圧縮空気中の細菌数を減少させるためには、セントラルバキュームの排気とエアーコンプレッサーの吸気を屋外に設置すること、さらにエアーコンプレッサーの水抜きを頻繁に行うとともに、機械が作動していないときには、機械内部を乾燥状態に保つために圧縮空気を抜いておく必要がある。
圧縮空気中の細菌の流れ
【論文題名】
歯内療法用器具の消毒に関する研究
【掲載誌名】
外川 正:歯内療法用器具の消毒に関する研究,岩医大歯誌,13:137〜143,1988.
【抄録】
歯内療法用小器具の消毒法、経済性を総合的に検討するため、歯科医院を対象にアンケート調査を行い、小器具をどのような方法で消毒しているかについて、その実態を調査した。アンケート調査の結果から、清浄液、消毒薬、小器具使用中の削片除去方法、洗浄方法、消毒などについて走査型電子顕微鏡による観察と細菌培養により検討を加えた。その結果、歯科臨床で行われている小器具の消毒は、ウイルス感染を防止するうえで十分ではないことが明らかとなった。さらに歯科臨床への応用が容易な超音波洗浄器と消毒薬の併用による消毒法が操作時間を短縮し消毒効果を高めることが明らかになった。
MAIL : sotokawashika@ozzio.jp