【論文題名】
鋳造二腕鉤に対応する鉤歯ワックスパターン形態のサベーヤーによる調整
【掲載誌名】
外川 正:鋳造二腕鉤に対応する鉤歯ワックスパターン形態のサベーヤーによる調整,岩手県歯科医師会 学術論文集,昭和55年・56年度分:30〜33,1981.
【抄録】
鉤歯がカリエスに罹患し全部鋳造冠にて歯冠補綴される場合、装着された歯冠補綴物を口腔内にて改造するよりも、ワックスアップの段階でサベーヤー上にて歯冠形態を整えた方が、より理想的な鉤歯としての形態を付与することができる。本稿はそのサベーヤー上でのワックスアップの手順とテクニックについて解説したものである。
【論文題名】
無歯顎顎堤模型の解剖学的なランドマーク間の計測
ー無歯顎顎堤に適合するトレーの想定ー
【掲載誌名】
外川 正:無歯顎顎堤模型の解剖学的なランドマーク間の計測 ー無歯顎顎堤に適合するトレーの想定ー,補綴誌,37:469〜479,1993.
【抄録】
著者は、顎堤の形態に適合するトレーを想定するために、無歯顎顎堤模型上の解剖学的なランドマーク間の距離を計測し、それらの計測値を統計学的に分析した。本研究は、著者の診療所に通院した男性38名(41歳から89歳まで平均65.6歳)女性43名(40歳から81歳まで平均69.3歳)の無歯顎患者の顎堤を印象採得して製作した顎堤模型を対象とした。計測値の比較分析対象の既成トレーは日本で一般的に市販されているものを選択した。
既成トレーの計測値と模型の計測値を比較し、統計学的に分析した。
その結果、以下の結論を得た。
1.男性では、女性に比較して、左右方向の顎堤の幅径は大きいことが明らかになった。しかしながら、その平均値の差はわずかであった。
2.市販されている輸入無歯顎用既成トレーでは、日本人の顎堤に適合しているとは、いいがたいことが明らかとなった。日本人の顎堤に適合する新たな既成トレーの開発の必要性が示唆された。
3.日本人の顎堤に適合する既成トレーは、上下顎27組が想定された。
上顎模型咬合面観と計測点
下顎模型咬合面観と計測点
【論文題名】
「入門」金属床義歯の設計手順(1)(2)
ー鉤歯の歯冠改造と作業模型への設計記入方法ー
【掲載誌名】
外川 正,平山 脩,池田守男:「入門」金属床義歯の設計手順(1)ー鉤歯の歯冠改造と作業模型への設計記入方法ー,日本歯科評論,632:141〜160,1995.
外川 正,平山 脩,池田守男:「入門」金属床義歯の設計手順(2)ー鉤歯の歯冠改造と作業模型への設計記入方法ー,日本歯科評論,634:155〜170,1995.
【抄録】
本稿は、実際の製作プロセスに沿った金属床義歯設計の手順書である。金属床義歯の設計をイメージとして理解していただけるように、多くの写真とイラストを採用した。さらに、専門的知識に関しては【WHY】という項目を別に設け、術式と分離し、読者に容易に理解できるように工夫してみた。日常臨床で遭遇した症例に対して本稿の手順に沿って設計を進めることにより、読者には金属床義歯の設計手順を理解していただけるものと確信する。
レッジとは、把持アームのために形成される鉤歯の棚状のステップ(左側)である。レッジに適合した把持アーム(右側)は、レストとガイディングプレーンの機能を持ち合わせることができる。
エーカースクラスプの設計に適した鉤歯の歯冠形態とサベーライン
【論文題名】
日本人の無歯顎顎堤に適合した試作トレー
ー市販既製トレーとの比較ー
【掲載誌名】
外川正:日本人の無歯顎顎堤に適合した試作トレー,補綴誌 第103回学術大会抄録集:69,2000.
【抄録】
欧米人は長頭型であるのに対して日本人は短頭型である。そのため,欧米人の顎堤は日本人に比較して前後の幅径率が大きい形態をしている。
一方,現在市販されている無歯顎用既製トレーは,欧米より輸入されているものが大半である。そのため,無歯顎用既製トレーは,日本人の顎堤に適合するものが少ないと言われている。そこで,著者の実験により得られた顎堤形態計測値に対応する既製トレーを試作し,印象採得に供した材料を使用して,試作既製トレーの適合度を評価した。
その結果,試作した既製トレーと市販の既製トレーとの間における顎堤への適合度に関して興味ある知見が得られたので報告する。
【論文題名】
改良型日本人用試作無歯顎用トレーの評価
【掲載誌名】
外川 正:改良型日本人用試作無歯顎用トレーの評価,平成16年度日本補綴歯科学会 東北・北海道支部総会ならびに学術大会:15,2004.
【抄録】
無歯顎患者の総義歯作製に際して,解剖学的ランドマークが再現されている診断用模型の果たす役割は重要である。解剖学的ランドマークが診断用模型に再現されるためには,患者の無歯顎顎堤に適合するトレーを選択する必要がある。
欧米人は長頭型であるのに対して日本人は短頭型である。現在市販されている無歯顎用既製トレーは,欧米より輸入されているものが大半である。そのため,無歯顎用既製トレーは,日本人の顎堤に適合するものが少ないと言われている。そこで,著者は,以前実験により得られた顎堤形態計測値に基づきトレーを試作した。その試作トレーは,形態が同一で大きさの異なる3種類からなり,患者の顎堤の大きさに応じて選択し使用されるものであった。著者は,このトレーが市販されている既製トレーよりも日本人の顎堤に適合することを明らかにした。その一方で,この試作トレーは、前後幅あるいは左右幅の割合が大きい顎堤には適合せず、形態の異なるトレーを追加しなければならないという課題を残した。本研究の目的は,この課題をクリアし、より適切な印象採得を可能にするトレーの開発にある。
【論文題名】
無歯顎顎堤計測値の統計分析に基づく無歯顎用試作トレーの評価
【掲載誌名】
外川 正:無歯顎顎堤計測値の統計分析に基づく無歯顎用試作トレーの評価,日本補綴歯科学会雑誌 51巻116回特別号平成19年5月 国際補綴歯科学会神戸2007:131,2007.
【抄録】
目的
無歯顎患者の総義歯作製に際して,解剖学的ランドマークが再現されている診断用模型の果たす役割は重要である.解剖学的ランドマークが診断用模型に再現されるためには,予備印象に使用する既製トレーが患者の顎堤に適合する必要がある.しかし,これまで市販されている無歯顎用既製トレーは,日本人の顎堤に適合しているとは言いがたい.著者は,1993年,無歯顎患者81名の上下顎顎堤計測値の統計分析により,顎堤の形態が上下顎各々大・中・小の6グループに分類されることを明らかにした.2000年,その顎堤に適合する試作トレーを発表した.さらに,2004年,その6種類のグループを,前後幅径が大きいもの,中間のもの,左右幅が大きいものそれぞれ3グループに分類した.著者は,今回,これらの研究に基づいた試作トレーに改良を加え新たなトレーを設計した.
本研究の目的は,著者が設計した試作トレーが無歯顎顎堤に不快感無くスムーズに適合するかについて臨床的に評価することにある.
方法
著者は,145名の無歯顎模型の前後・左右幅径を計測した.上顎前後幅径は,正中部粘膜翻転部から左右のハムラーノッチを結ぶ線までの距離である.上顎左右幅径は,上顎顎堤の左右幅径がもっとも広い部分における粘膜翻転部間距離である.下顎前後幅径は,舌側正中部粘膜翻転部から左右の臼後三角後縁部を結ぶ線までの距離である.下顎左右幅径は,臼後三角付近における顎堤舌側の左右粘膜翻転部間距離である.今回,著者は,これらの顎堤計測値の統計分析に基づいて無歯顎用トレーを設計した.さらに,最大・最小寸法の上下顎4種類のトレーを加え,合計22種類のレジン製無歯顎用トレーを試作した.
今回設計した無歯顎用試作トレーは,形態の異なる22種類のトレーからなる.被験者は,当院を受診した無歯顎患者である.各々の患者には,患者の顎堤に適合するトレーを選択した.そのトレーを使用して顎堤の印象採得を行った.その印象から作られた診断用模型のランドマークの再現性について評価分析した.
結果と考察
1.すべての被験者における顎堤に適合するトレーが、22種類のトレーの中から選択することができた.
2.すべての診断用模型には,解剖学的ランドマークが再現されていた.
3.今回設計した無歯顎用試作トレーは,全ての無歯顎患者顎堤に適合し,術者の総義歯印象採得に係る労力・時間の軽減が可能となった.
本研究は、無歯顎患者の術前診査に顎堤計測を追加する必要があることを示唆した.
MAIL : sotokawashika@ozzio.jp